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第966話
先に席についたマイクが『早く早く』とジェスチャーで呼んでいる。
「一旦戻ろうか。」
「うん、お預けくらった大型犬みたいだな、アレ。」
「ユータ、いつもあんなの?」
「そうそう。特にバイキングはね。」
くっくっくっ
「はい、お待たせ、マイク!
待っててくれてありがとう!
じゃあ、いただこうか。」
いっただきまーーす!!!
身体がゴツい分、やっぱりよく食べる。
あれだけ盛られた物がどんどん口に吸い込まれて皿が空になり、マイクは嬉しそうにいそいそとお代わりに立ち上がった。
「ユータ…あれ…」
「凄いだろ?バイキングに来るとこうなんだ。
気にしないでいいから。ま、好きに食べさせてやって。」
そしてまた…山盛りの皿を両手に持ち帰り、往復すること数回…
「次はデザートだ!」
流石の俺達もマイクの食欲にはついて行けない。
俺達は俺達のペースで美味しくいただいた。
「あーー、美味しかった!満足、満足!」
「…マイク…猫被ってたんだな…」
「えへへっ。そんなことないよ。心配させてごめん。」
「俺達の前で遠慮しなくて良かったのに…ずっと我慢してお腹空いてたんじゃないか?」
「いやいや、そんなことないよ!今日は調子に乗っちゃっただけだから…」
「ひもじい思いしてたんじゃないのか?」
「違うよぉー!もぉ、揶揄わないでくれよぉ。」
一頻りマイクの食欲をネタにして笑いながら移動する。
まだ買い忘れた土産物を買うために余裕を持って空港入りしたい、と言う二人の後ろ姿を見ていると、刻々と迫る別れの時にため息が溢れる。
「トーマ!」
振り返ったユータが俺に声を掛けてきた。
「また会えるから。ううん、また会おうよ!
だから、そんな顔しないで…」
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