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第967話
「ごめん…笑って見送らなくちゃと思ってるんだけど…別れるのが辛くって…」
ユータはそっと俺の肩を抱くと
「離れてても俺達はココにいるよ!」
と俺の胸を軽く叩いた。
「時差はあるけど電話だって繋がるしさ!
トーマ、絶対また会おうぜ!」
じわりと滲む涙の膜を手の平で拭い取ると、ユータに頷いて微笑みを返した。
それから俺達はたわいも無い話をしながら空港へ到着した。
まだ土産が足りなかったらしく『アイツにはこれ、それとこれ』なんて二人で相談しながら買い物する様子を少し離れた所から見ていると、微笑ましくて俺は思わず希にくっ付いていた。
「なぁ、俺達も側から見たらあんな風に見えるのかな…」
ひとり言のように呟くと
「ふふん、今更何言ってんの?
きっとアレ以上だと思うけど?
…そう見えたら不満なの?」
「ううん。何かいいな、って思って。
俺達もあんな雰囲気なら嬉しいなって。」
「斗真…そんなかわいいこと言ってると襲いたくなる。」
「真顔で言うの止めてくれよ。お前が言うと洒落にならない。」
「………だって、今夜」
「ストップ!分かってるからそれ以上言うな。」
かあっ、と顔が赤くなるのが自分でも分かる。
チラリと隣の希を見ると、その頬も耳も真っ赤になっていた。
「お待たせー!あれ?二人とも顔赤いけど…どうかした?」
「ううん!何でもないよ!
それより、土産は全部買えたのか?」
「あぁ、お陰様で。これで十分さ。
さて、先に手続きしてこようか、ユータ。
いい席確保したいしね。
その後もう少し時間があるから、コーヒーでもどうだい?ノゾミ、トーマ、待っててくれる?」
「「勿論!!」」
マイクの提案に乗っかって、搭乗手続きを待っていると、少し時間は掛かったが二人が戻ってきた。
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