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第968話

「お待たせー!さ、行こうか。」 お馴染みのチェーン店ではなく、少し小洒落た落ち着いた雰囲気の店を選んで入った。 それぞれに飲み物を注文して席に着くと、ユータが突然 「ノゾミ、トーマを泣かしたら承知しないからな。 トーマ、ノゾミが何かやらかしたらすぐに連絡するんだぞ。」 「何言ってんの?俺がそんなことする訳ないじゃん! …あ…違う意味ではバリバリに啼かすけど、痛っ!」 俺は希の頭を引っ叩いた。 「バカ希。何言い出すんだ。黙ってろ。」 叩かれた所を撫でながら希が謝罪の言葉を口にする。 「…ごめんなさい…」 マイクが笑いながら 「ユータ、そんな心配は無用だ。 見ただろ?ノゾミの手綱を引いているのはトーマだよ! トーマ、ノゾミはこんな世話の焼ける奴だけど、末永く愛してやってくれ。 これは俺達からのお願いさ。」 「コイツの面倒を見れるのは俺しかいないから。 任せといて!」 「とぉまぁ…」 「情けない声出すな!」 「あー、完全に尻に敷かれてるな。 うちとおんなじ…痛っ!ユータ…」 「マイク…俺は尻に敷いてないぞ!」 大爆笑の後、マイクが真顔で 「二人とも本当に世話になった。本当にありがとう。お陰で楽しい良い旅になったよ。 困ったことがあったらいつでも連絡してくれ。 どんな小さなことでも構わない。 必ず助けてやるから。」 「マイク…ありがとう…」 「ありがとう。俺達も本当に楽しかった。 二人とも身体に気を付けて元気でな。」 「ありがとう。君達も元気で。」 「ノゾミもトーマも身体には気を付けて。 若いと思って過信してると後でガクッとくるんだから!」 「お互いにな!」 「…帰りたくないな…もっと一緒に色んな所に行って、たくさん話したかった…」 「ユータ…」

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