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第973話
俺もその文を見ながら
「そういう風に言ってもらえて、俺も嬉しいよ。
正直に言うと…彼らがこっちに来るまでは、俺、あっちでのこと思い出したり、余計なこと考えてちょっと落ち着かなかったんだけど、この数日間は本当に楽しかった。
来てもらえて本当に良かった。
希、ありがとう。」
希はそっと俺を抱きしめると
「色々負担掛けたり、我慢させたりしてごめんな。」
それだけ言うと、俺を抱く腕に力を込めた。
何も言わなくてもいいよ。
希の思ってることは分かるから。
俺は暫くその温もりに身体を預けていたが、やんわりと希の身体を押し戻した。
「斗真!?」
心配そうな希の鼻先にキスを一つしてやった。
「ご飯の支度しなくちゃ。
希は返信してあげてよ。あ、でも離陸時間なら電源切ってるか。」
「取り敢えず送っとくよ。」
俺は笑顔で頷くと、キッチンへ向かった。
その頃機内では…
「あっ、もう返事きた!
もうすぐ離陸だからスタンプだけ送信…っと。」
「どれどれ?…くっくっ…あーぁあ…このまま日本にいたかったなぁ…」
「そうだな。本当に楽しかったよ。
ノゾミもトーマも俺達を楽しませようとあれこれ気を配ってくれてさ。
まぁ、何よりトーマが元気になってたのが良かったよ。」
「俺達に会うことで、多分あの時の記憶が蘇ってたんだと思うんだけど… 最初は少しぎこちなかったからね。
でも、一緒に過ごしていくうちにそれも段々と消えていったから…
よくもあそこまで回復したもんだ。
ノゾミの愛の力だな。」
「ああ、そうだね。
…とにかく元気になってて良かった…」
「ノゾミには、動きがある度にあの後のことを伝えてたんだよ。
…それに、もう奴らの関係者にもどうこうする力なんて残ってないからな。」
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