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第982話

「とーまぁ…」 「ふぁんふぁよ(なんだよ)………何?」 「何か…怒ってる?」 「はあっ!?何で?」 「何か機嫌悪い。」 「そんなことないって!あ、ケーキありがとうな。美味かった。また買って!」 ふにょふにょと笑う斗真にぎゅっと抱きついた。 「うおっ…希、どうした?」 首を横に振り、斗真に擦り付いて離れない俺。 そんな俺を斗真はそっと抱きしめ返してくれ、ぼそぼそと言い始めた。 「…何かさ…」 「うん。」 「『食い意地張ってる』って言われたみたいでさ。」 「え、そんなこと言ってないし思ってない。」 「ちょっと、腹が立った。」 「気分害したらごめん。よくこんな甘い物食えるなぁ、って思ってただけ。 俺はどっちかと言えば苦手だから。 馬鹿になんかしてない。」 「…そっか…」 「ただ甘い物食べ過ぎて病気になったら嫌だな、って思ってた。」 「……うん…」 「誤解させてたならごめんな。」 「…うん。」 「また買ってやるから。加減して食べてくれ。」 「…うん。」 斗真の顎を掴み持ち上げてそっとキスをした。 小鳥が啄むように、チュッ、チュッ、と音を立てて。 くすくすくす… 斗真が笑い出した。 「希、まーた心配し過ぎ。何度おんなじ事言えば気が済む?」 「だって…成人病は怖いんだぞ!? いくら定期検診受けてるからって言っても、何があるか分かんないんだぞ!? 糖尿病とか脂肪肝とか高血圧とか… 大切な伴侶の身体の心配して何が悪いんだ!」 「分かってるよ。」 斗真は俺の頬を両手で引っ張りながら微笑んだ。 「だから自分でもちゃんとセーブしてるから大丈夫。 お前だって気を付けてくれないと困る。 …もしお前に何かあったら、俺は」 「俺だって。 お前にもし何かあったら、俺は生きていけない。 でも老衰は仕方ないけどな。 だから、病気や事故や怪我には気を付けてくれないと。」

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