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第986話

数え切れないほどに重ね合った身体と心。 不意に愛おしさが込み上げてきて泣きたくなる。 挿入したまま無言で背中にキスを繰り返す俺に、斗真が心配そうな声を出した。 「希?」 肩甲骨の真ん中に吸い付いて、一際大きなリップ音と共に跡をつけると、後孔がキュッと締まった。 「うっ」 危うく射精しそうになり、下半身に力を込め気を散らして深呼吸した。 「……ふぅ…ヤバかった…斗真ぁ…」 咎めるように名前を呼ぶと、くすくすと笑っている。 言葉を交わす度にその振動が、交わったところから伝わり、また暴発しそうになる。 「ヤバい…お前の中ヨ過ぎて、もうイきそう…」 「イけよ。」 「え?」 「いいから、イけよ…何度でも…全部受け止めるから…」 「煽り過ぎだ、ばーか。でも…ありがとう…」 無理矢理捻った顔に食い付くようなキスをして、シンプルな言葉を耳元でささやいた。 「斗真…愛してる…」 ぶるっと身体を震わせた斗真が呟いた。 「はあっ…俺だって…愛してるんだ…」 吸い付く内襞はしっかりと俺の形に馴染み、温かく包んでくれる。 「斗真…斗真…」「希…」 もう、名前しか呼べ合えない。 交わる吐息と甘い唾液 少し柑橘系の匂いのする胸元 次第に湿り気を帯びてくる肌 熱気の篭る髪の毛 絡み合う指 滑った音を立てる下半身 それらが五感を伝わり、俺達を煽って昂らせていく。 このまま溶けて一つになりたい。 斗真の分身になるか、それとも俺の中に取り込むか…どちらでもいいか。 繋がる部分から全身にかけて、甘だるい電流のようなものが流れ続け、射精を促してくる。

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