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第991話

そして… 念願叶って、俺は斗真を背中から抱きしめ、両手をお腹の前で組んで左肩に顎を乗せている。 べったりくっついている訳だ。 時々、お湯の中でゆらゆら揺れる斗真ジュニアに俺の手が当たるのは不可抗力としか言いようがない。 決してワザと当てているのではない。 斗真もそれは分かっている…と思う。 だって、無下に俺を振り払ったりしないから。 「とーま♡」 「…はいはい、何でしょうか。」 「呼んでみただけぇ…」 「はあっ…そうか、それで満足か。良かったな。」 斗真は呆れた声を出しながらも、ぐふぐふと変な笑い方をする俺の頭をぽんぽんと撫でてくれる。 「…おい、そろそろ出るぞ。湯当たりして倒れると困る。 俺は眠たい。限界だ。」 「んー…あともう少し…」 「仕方ないなぁ…あと二分だぞ。」 “もう少し”は“二分”なのか。微妙。 こくこくと頷くと、斗真は諦めたのかじっとして俺がくっ付いたままでいてくれている。 あったかい。気持ちイイ。 斗真に触れていると安心する。 もう少し、もう少し、このままで… 「…時間だ。出るぞ。」 斗真は、むぅと膨れっ面をした俺の手をそっと解くと、手を引っ張り引き上げた。 その拍子に、ざばぁーっ、と流れ落ちるお湯が溢れ、床の洗面器がからからと音を立てる。 くるんと振り向いた斗真は、俺の膨れた両頬をむにむにと抓ると笑いながら言った。 「ご機嫌斜めの希ちゃん。一杯だけワイン飲んで寝ようか。」 「…斗真がそうしたいなら…」 「んじゃあ、決まりな。ほら、俺を早く拭いて。 髪の毛も乾かして。」 俺は口を尖らせながらまだ怒ってるフリをしつつ、斗真の身体の端から端までしっかりと拭きあげた。 勿論、も念入りに。

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