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第994話

「とぉまぁ…ごめんって…ねぇ、何か言ってよ… とーまぁ…」 ベッドに突っ伏して、ぴくりとも動かない斗真に声を掛け続けるが、反応はない。 あの後…盛り上がって愛し合った。 一応、ナカを掻き出して綺麗に拭いてやった。 確かに風呂の中で言ったよ、『絶対、絶対、もう今日は何にもしないから』って。 でも、だって、仕方ないだろ? あんなかわいい斗真を目の前にして、手を出さないって選択肢はあり得ない。 色っぽく誘うあの瞳に見つめられたら、理性なんて吹っ飛ぶに決まってるじゃん。 斗真だって、あんなに俺を求めてくれたじゃないか。 シたばかりの斗真の後孔は柔らかくて、すぐに俺を受け入れてくれたし、ナカだって吸い付いて離れなかったじゃないか! それに…あんな激しいキスを仕掛けておきながら『その気はなかった』なんて言うなよ! 「…とぉまぁ…」 「…賢者タイムだ。邪魔するな。」 「ん?」 「『何もするな』と言っておきながら、仕掛けた俺自身が恥ずかしくて仕方がない。 おまけに怠くて身体も動かない。 …恥ずかしいから暫く放っておいて。」 かわいいっ! ハートを撒き散らして、こんもりと丸くなった布団に覆い被さった。 「とぉーーーまぁっ♡♡♡」 「うおっ」 「斗真、斗真、斗真」 ゆさゆさ布団ごと揺すると、くぐもった声が聞こえる。 「やーめーろぉー」 はっ、そうだ…動けないんだった。 「…ごめん…」 そのままぎゅっと抱きしめる。 「斗真…」 愛おしさを込めて名前を呼んだ。 「五月蝿い、寝かせろ。」 つっけんどんな返事は、それでももう怒気を含んではいない。 にゅっと出てきた手が伸びてきて、俺の頭を探し当てると、優しく撫でられた。 「良い子で寝るんだぞ、希ちゃん。」

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