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第996話

side:斗真 好きで好きで好きで好きで好きで…堪らない。 何度も何度も何度も繰り返すこの思い。 この溢れる思いをどうしろと言うのか。 希が絡むことに関しては、俺は冷静ではいられなくなる。 どれだけ言葉に出しても、キスしても、抱きしめ合っても、身体を繋げ合っても、いつまで経っても満たされないこの思い。 「希…離れないから…」 覚悟のような宣言のような、思わず口から零れ落ちた呟き。 『何て言ったの?』と問われたけれど、もう口に出せなくて黙っていた。 希と心も身体も通わせた今、遠距離の生活なんてもう無理だ。 きっと俺が耐えられない。 希のいない空間なんて考えられない。 一体いつからこんなに依存するようになったんだろう。 希は、もう、俺の一部、だ。 気取られたくなくて慌てて寝たフリをした。 ――希は予防線を張っていた。 頭のいい奴はやることがえげつない。 転勤するにしても、ずっと俺達は二人で1セットだってことだろ? アホか。 そんなこと許す会社も会社だ。 まぁ、希の初恋を応援したあのCEOや幹部達ならマジでやりかねない。 だから… この先仕事もプライベートも、ずっと希と一緒だ…それって倦怠期なんて来ないのかな。 一緒にいながら満たされぬ思いを抱えるなんて矛盾してるし。 すっかり眠った希の腕を離し、俺が抱きしめてやる。 いつもは抱かれる立場の俺が希をそっと包み込んでいる。 偶にはいいだろ? 俺だって男なんだ。愛おしくて思う者を守りたい気持ちに溢れてる。 無防備に眠る希が愛おしくて何だか母親になった気分でおかしくなったが、雛を守る親鳥のように包み込み、俺もいつの間にか眠ってしまっていた。 目覚めても、希は俺の腕の中で。 愛おしさが溢れて頬を擦り寄せた。

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