2 / 1000
第2話
俺は影山 斗真 、25才。
一応名の知れた大学を卒業後、これまた一応名の知れた外資系の会社に就職して営業部に配属されている。
業績はいつも1・2位を争う程で、営業部のプリンスと密かに呼ばれている…らしい。
中学の頃はかなりのヤンチャで親も手を焼いていたが、高校入学と同時に何を思ったのか品行方正の優等生に変貌して生徒会長を歴任し、勉強は常にトップ、運動も弓道部で全国まで行って、かなり目立った存在だった。
自分で言うのも何だが親譲りの整った顔とそこそこの身長と甘い声で、かなりモテていた。
言い寄る女は数知れず、それでも誰にも本気にはなれなかった。
社会人になった今でも、擦り寄ってくる女共は後を絶たないが、食指の動く女には巡り会えず、独身を通している。
正直言うと、女には興味がない…たぶん、『あっち系』の人種だ。
噂では、誰が俺を落とすか賭けの対象にもなっているらしい。
悪いけど、誰も賭けには勝たないな。
「向日葵か…」
思わず独り言が出てしまった。
俺の大嫌いな花だ。
急いで通り過ぎようとしたその瞬間、あの夏の日の出来事が鮮やかに蘇ってきた。
ともだちにシェアしよう!