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第18話

ちゅっ 希の唇が音を立てて離れていった。 「マジで具合悪そうだし、今日のところはキスだけにしといてやる。 退屈しのぎのオモチャが見つかってよかったよ。 あ、会社では普通に上司と部下として接してやるから、ありがたく思えよ。 今日から三日間有休申請しといてやる。 体調整えてから出社するといい。 じゃあな。」 俺の返事も聞かず、希がドアを閉めて出て行った。 頭が割れるように痛い。 『退屈しのぎのオモチャ』 その台詞がずっとリピートして離れない。 好きな時に俺を『抱く』ということか? 何を言われても何をされても …逆らえない。 無邪気に笑っていた希はどこにいったんだろう。俺が好きだった希は… あぁ、そうだ。認めたくなかったけれど俺は希に恋していたんだ。アイツのことが好きだったんだ。 だから欲情して無理矢理抱いたんだ。 俺のせいで女を抱けなくなったと言っていたけど、じゃあ、男しか無理だってことなのか? あの後…留学先で何があったんだろう? ぐるぐる回る思考を整理できず、ショート寸前の回路をそのままに、とにかくシャワーを浴びようとフラフラしながら立ち上がった。 水しぶきの中、とめどなく流れる涙を止める術もなく、思う存分泣いて。 元はと言えば、自分が仕出かしたことなんだから、泣いてもどうしようもないと自分に言い聞かせて、ベッドに倒れ込んだ。

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