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第21話
「…具合はどうなんだ?病院には行ったのか?何か食ったのか?」
え…まさか、心配されてる?
「…昨日よりはマシです。少し落ち着いたので病院には行ってません。ご飯は今から作ろうかと。」
「そうか。食欲があるならこれ、食えるか?」
差し出されたのはコンビニの袋。
開けてみろと顎で示されて、遠慮がちにセロテープを外す。
中には冷やしうどんとサラダとプリンが二つずつ入っていた。
あ…プリンだ…
「俺もここで食べるから。キッチン使うぞ。」
俺の返事も聞かず、それを持って勝手に準備を始めてしまった。
「あの…」
『具合が悪いのなら口当たりの良いものを』と、選んで買ってきてくれたんだろう。
俺が熱を出して寝込むと、必ず希がプリンを持って見舞いに来てくれていた。
それを思い出して、泣きそうになった。
昨日とまるで違う希に、 どうしていいかわからず、また口を挟む隙も与えられず、俺はただ希のすることをぼんやりと眺めていた。
しばらくして目の前にサラダとうどんとプリンが差し出された。
「ほら、食える分だけ食ったら横になるといい。」
「…ありがとうございます。…いただきます。」
緊張し過ぎて味も分からなかったし、半分も食べられなかった。
手をつけなかったプリンと残ったものは後で食べようと冷蔵庫に片付けた。
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