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第23話

やっと普通の食事量に戻った俺は、休暇の残り一日をひたすらぼんやりと過ごした。 頭に浮かぶのは『希』のことばかり。 まるで初めて恋する少年のように、その顔を思い描く。 けれどもその顔は、中学生の頃の希だったり、大人になった希であったり。 けれども… アイツは、俺のことを許した訳ではないのだ。 達した結論は『体調を崩した奴には、いたぶる価値もない』ということ。 反抗し抵抗する俺を完璧に押さえつけ、二度と歯向かえないように調教して堕とすつもりなんだろう…そこにはきっと復讐と優越感と征服欲が存在してくるのだろう。 何をされるか大体想像はつくけれど、言いなりになるしかないのか。 それだけのことをしでかしたのだから仕方がないのか。 希の思うがままに嬲りものにされて、挙句ボロ雑巾みたいに捨てられるんだろうな。 俺は…今更というか…気付いてしまった。 そうだ、好きだったんだ。 希のことが好きだった。好きだから抱いた。 同性だとかそんなもの関係なく。 単純なその答えに今まで見ないフリして、その気持ちに蓋をしてきたんだ。 今は?今の気持ちは? やっぱり、俺は希のことを… でも、この想いは決して届くことはない。 希が飽きるまで『オモチャ』として扱われるのか…それは辛いな… 堂々巡りみたいにあれこれ考えても仕方がない。 俺の身体はもう、希のものなんだから。 明日からまたいつもの生活が始まる。 上司と部下として顔を合わせなければならない。あの物の言い方からすると、仕事上は問題ないだろう。 あぁ、転職しようかな…いや、転職しても希の条件は変わらない。 暗い気持ちのまま、とぼとぼとベッドへ向かった。

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