23 / 1000
第23話
やっと普通の食事量に戻った俺は、休暇の残り一日をひたすらぼんやりと過ごした。
頭に浮かぶのは『希』のことばかり。
まるで初めて恋する少年のように、その顔を思い描く。
けれどもその顔は、中学生の頃の希だったり、大人になった希であったり。
けれども…
アイツは、俺のことを許した訳ではないのだ。
達した結論は『体調を崩した奴には、いたぶる価値もない』ということ。
反抗し抵抗する俺を完璧に押さえつけ、二度と歯向かえないように調教して堕とすつもりなんだろう…そこにはきっと復讐と優越感と征服欲が存在してくるのだろう。
何をされるか大体想像はつくけれど、言いなりになるしかないのか。
それだけのことをしでかしたのだから仕方がないのか。
希の思うがままに嬲りものにされて、挙句ボロ雑巾みたいに捨てられるんだろうな。
俺は…今更というか…気付いてしまった。
そうだ、好きだったんだ。
希のことが好きだった。好きだから抱いた。
同性だとかそんなもの関係なく。
単純なその答えに今まで見ないフリして、その気持ちに蓋をしてきたんだ。
今は?今の気持ちは?
やっぱり、俺は希のことを…
でも、この想いは決して届くことはない。
希が飽きるまで『オモチャ』として扱われるのか…それは辛いな…
堂々巡りみたいにあれこれ考えても仕方がない。
俺の身体はもう、希のものなんだから。
明日からまたいつもの生活が始まる。
上司と部下として顔を合わせなければならない。あの物の言い方からすると、仕事上は問題ないだろう。
あぁ、転職しようかな…いや、転職しても希の条件は変わらない。
暗い気持ちのまま、とぼとぼとベッドへ向かった。
ともだちにシェアしよう!