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第36話
異常な喉の渇きと腰の痛みで目が覚めた。
起き上がろうとして
「痛っ」
思うように動けない。
ここは…俺の部屋だ。
希?希はどこに?
慌ててシーツを弄るが、横には誰もいない。
俺の妄想?いや、確かに希とここに帰ってきた。
この痛みと胸元に一つ残る赤い印は情交の印だ。
いつの間にか、身体もシーツも綺麗になっていた。
枕元にはペットボトルの水が置かれ一枚のメモが。
『また連絡する』
また?やはり またこういうことするというのか?
アイツにとって俺はただの『オモチャ』だから。
痛む腰を押さえゆっくりと起き上がり水を飲んだ。喉が痛い。
あれだけ啼き叫べば喉も枯れるはずだ。
獣のように、狂ったように。
思い出すだけで羞恥で身悶えしそうだ。月曜からどんな顔して会えばいい?
あぁ、会社では上司と部下だと言ってたっけ。
それでも俺は…
身体を繋げてしまえば、もう快楽が刷り込まれて離れられない。いくら抱かれる側だとは言え、あんなに感じたのは初めてだった。
それくらい身体の相性は良かった。
ずくっ
あの快楽を思い出して大きくなる俺自身に思わず右手が伸びた。
希の手を思い出して、躊躇いもなく手を動かす。
「うくっ」
呆気なく吐き出した白濁の液を見ながら、涙が溢れて…いろんな思いでぐちゃぐちゃになり…一人静かに泣いた。
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