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第38話
約束の時間ジャストにインターホンが鳴った。
画面を確認し慌てて自動ドアをロック解除すると、間もなく希が玄関のドアを開けカチリと内鍵を掛ける音が聞こえ、真っ直ぐにリビングへとやってきた。
「風呂借りるぞ。」
勝手知ったる風でハンガーを取り出し、ジャケットを掛けるとバスルームへ消えていった。
匂い立つような雄の色気に、姿を見ただけでやられている。
心拍数が跳ね上がり手の平はじっとりと湿っていた。
何だか久し振りの逢瀬を待つ愛人の気分だ…
フローラル系の香りを纏って現れた希は、俺の手を掴むと寝室へ直行し、俺をベッドへ引き倒した。
「うぐっ。」
「期待してたのか?身体は正直だな…もう、こんなになってるじゃないか。」
『そこ』を突かれて身体が跳ねる。
あろうことか、俺自身がしっかりと勃ち上がり、スウェットのズボンを綺麗に押し上げていたのだ。
「あっ?えっ?いや…その…」
「こんなに期待されてたんじゃ、それに応えなければならないな。
やっぱりイヤらしいよ、お前。」
くくくっと面白そうに喉で笑った希はいきなり、昂ぶったオレ自身を布越しに掴み擦り上げてきた。
「ひゃあっ??」
布越しのもどかしい感触に待ち兼ねた快感を与えられて、何とも間抜けな声を出して、俺はあっという間に暴発してしまった。
ひくひくと身体を震わせ半泣きになった俺に、希は冷たい視線を浴びせて言い放った。
「オモチャが勝手にイってるんじゃねぇよ。」
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