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第42話
少しずつゆっくりと希が動き出した。
その速度が焦れったくて、無意識に腰を擦り付けて強請るような仕草をしてしまっていた。
直接触れているところは勿論、身体の奥からじりじりと狂おしい熱が溢れてきて、僅かに残っている理性が弾き飛ばされそうだ。
口から溢れ出す俺の声じゃない声が部屋に響き、お互いが吐き出す濃い雄の匂いが充満して頭がクラクラする。
もう後戻りはできない。
心が…身体が希を求めてやまない。
俺は…俺は、ずっとずっと希が好きだったんだ。
例えオモチャでもいい。抱いてくれるなら。
段々と速度を増してくる抽挿に涙が一筋零れだす。
内臓が引き摺り出され、内壁がめくられるような激しさに負けじと、俺の襞が楔に食らいついている。
ゴリゴリと感じる部分を念入りに擦られ、そこに気を取られていると、胸の粒を弄られる。
胸からもお腹の中からも甘い疼きが走り、もう…このまま希に抱かれながら死んでもいいとさえ思う。
もし、俺が女だったら…
希と恋愛して結婚して子供ができて…
普通の幸せを手に入れていたのだろうか…
だけど、俺は男で…
コイツを無理矢理犯して人生を狂わせた極悪人だ。
人並みの幸せを手に入れようなんてムシが良すぎる話。
一生オモチャでもいいから、俺のことを考えてほしい…
そんなことを考えながらも身体は快楽に正直で、甘ったるい声をあげて希を受け入れていた。
「「うっっ」」
ほぼ同時に果てた俺達はベッドに沈み込み、俺は荒い息を吐きながらただ涙を流していた。
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