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第47話
いつもの時間にいつものスタイルで出勤する。
普段と何も変わらない俺。
顔も態度も声もいつも通り。 誰も気付かない。
「おはようございます。」
「おはようございます。」
希とも普通に挨拶ができた。特に呼び出しもないし、やはり先週の電話は仕事絡みではなかったのだろう。
取り急ぎの仕事はない。仕事上はきっと問題ないはず。
次々と出勤してくる先輩や同僚にも挨拶しながら、机上の書類に目を通す。
同期の矢田が声を掛けてきた。
「影山ぁ。今週夜、暇な日ないか?」
「ん?どうしたんだ?今んとこアポないからいつでもいいけど。」
「久し振りにお前と一杯やりたくってさ。ずっと誘いたかったんだけど、最近金曜はとっとと帰っちまってただろ?
怪しいな…デートなら遠慮するけどさ。」
「はぁ?別に…週末は疲れが溜まって早く帰りたいだけだよ。」
「決まり、金曜日な。空けといてくれよ。」
じゃあ と片手を上げて隣の部屋へ去って行った。
金曜…希の顔が一瞬浮かんだけれど、どうでもよくて矢田と約束してしまった。
変に断るとバレるのも嫌だし。希に何か言われてもそれで押し通せばいい。
…視線を感じた。ふっと顔を上げると、希が冷たい目でこちらを見ていた。
聞いていたのか?じゃあ話は早い。あのやり取りなら、断るのは難しいとわかっているはず。
何か言いたげな希を無視して仕事に取り掛かった。
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