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第61話
希は黙って俺を見つめたままで…
俺は、バレたらもうどうでもよくなって、全て吐き出してこの恋に終わりを告げようと決心していた。
「…なのに、再会したお前は、俺のことを憎んでいた。
そうだよな、あんなことされて。人生狂ったんだもんな、俺のせいで。
お前の気が済むようにすればいいと思った。
どうせ他の奴と恋愛…ましてや結婚なんてできないってわかったから。
最初はショックだったよ。
でも、お前がどんなに俺のことを嫌悪していようが、抱かれている時は幸せだったんだ。
だってそうだろう?
どう思われようと好きな相手に抱かれてるんだ。
けどさ、お前に結婚話が決まって…この関係を終わりにしなければと思った。
俺にはお前の幸せを壊す権利はないからな。
だから…
俺を解放してくれ。
二度と会わないと約束するから。
本当に、ごめん、希。
許してくれなんて図々しいことは言わないよ。
引き継ぎもせずに悪いが、このまま有休消化させてくれ。
デスクの荷物は…退職に必要な書類が整ったら取りに行くから。」
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