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第66話

「俺が何だっていうんだよっ。」 「変な笑い方して。お前はもっとふんわり柔らかく笑う笑顔の可愛い奴だったのに。 口先だけで笑いやがって。」 「えっ?突っ込むとこそこっ?」 「人を見下した態度で何様かって。 俺は…辞令の名前を見た瞬間に卒倒しそうになって…会ったら謝ろう、許してもらえなくても…って思ってたのに… とことん罵倒されるのはわかってたけど、『オモチャだ』って吐き捨てるような言い方されて… お前にしたことを考えたら、それも仕方がない、それで気が済むなら…って… その通りに俺の気持ちなんてお構いなく、自分のヤりたい時に滅茶苦茶な抱き方しやがって… 俺は…心も身体もどんどんお前に溺れていって…俺ばっかり好きになって……お前に結婚話が浮上して、辛くて悲しくて、それでもお前が幸せになるなら身を引いてって…退職も決心して…それなのに… 割り切った関係だったのに、好きな奴に染められていく身体がうれしくて切なくて…でも心は…報われない…この気持ちが…」 泣きじゃくって途切れた言葉が宙に浮いた。 溢れるように発する言葉が止められなかった。 感情が爆発してダダ漏れになっている。 俺は何度も繰り返し何を喋ってるんだ? 結局『希のことが好き』ってダメ押しで言ってるだけなんじゃないのか? マズい。 何カミングアウトしてるんだ、俺?

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