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第67話

んぐっ? 希に唇を奪われた。 思わず開いた隙間から舌が入ってきて、ぐちゃぐちゃに口内を荒らされる。 届かぬところがないくらいに嬲られて、息ができない。苦しいっ。 「んーっ、んっ、んんっ」 希の肩をばしばしと叩くと、やっと離れてくれた。目の端に二人の唇を繋ぐ銀糸が見えた。 はあはあと肩で息をして、くったりと脱力している俺に 「斗真…好きだ。大好きだ。」 目の前の愛おしい男から、待ち望んでいた夢のような言葉が降り注がれた。 キスだけで半分意識を飛ばしている俺は 「…本当に?…じゃあ…証明してよ。」 後で正気に戻って思い返すと、何とも恥ずかしい台詞をよくもまあ吐いたもんだと思う。 その時はトンでるから、無意識に希を煽った形となっていた。 「わかった。証明したら…俺と結婚してくれるよな?」 「できるもんならやってみろよ。」 急にふわりと身体が宙に浮いた。 「ふえっ?」 間抜けな声を出した俺は、希にお姫様抱っこをされて、空間を移動していた。 「えっ?は?希っ?」 着いた先はベッドルーム。 希の匂いが充満していた。その匂いを嗅いだ途端、身体の奥から、ずくりと甘い疼きが俺を襲った。

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