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第72話
そう、希の言う通り…
俺自身はもう緩やかに勃ち上がり、希の身体に当たっていた。
同じように…いやそれ以上に、希の熱く昂ぶったものが俺に当たっているのを感じ、思わず腰を引いて横にずれた。
その腰を引き戻され、髪の毛を優しく撫でながら希が言った。
「斗真、いい加減に認めろよ。
俺達、長年拗らせてしまった両片思いだったんだ。
もう…本物の『恋人』でいいだろう?」
希の目が潤んでいる。
「俺は…諦めなくてもいいのか?
お前に嫌われていないのか?」
「くどい。ずっと好きだったって言ってるじゃないか。
もう…離さない。」
そっと唇が触れてきた。そのまま啄ばむように繰り返しキスをされる。
時折上唇や下唇を甘噛みされて、擽ったさに顔を捩って逃げようとしても振りほどけない。
全身から力が抜けきって動けなくなっている。
少しずつ溢れ始めた吐息は熱く、少し開いた隙間を縫って希の舌先がぬるりと入ってきた。
舌の根元からゆっくりと舐め上げられて、飲み込みきれない唾液が口の端から零れ落ちる。
それをまた舐め取っては、また、口内を蹂躙されて…希がやっと口を解放した時には、もう俺の息はすっかり上がり、目の端から涙が幾筋も溢れて視界がぼやけていた。
まるで既に身体を重ね合った後のように。
キスだけでこんなになるなんて…
今までとは違うキスは、甘くて優しくて…
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