87 / 1000
第87話
「なぁ、斗真。俺達、お互いが想い合ってるのはもうわかってるから…身体も繋がりたい、貪るように愛し合いたい。
…で、結果抱き潰してごめん。
ハッキリ言うと『イチャイチャしたい』んだよ、俺はっ!
ずっと…お前を絶対に俺のモノにするって決めてたんだ…十年だぞ!十年!
想い続けて、待ち焦がれて…やっと叶ったんだ。
でも…お前の腰が治るまでセックスは我慢するから…俺のこと…構って…」
「希…お前…あー、もう。かわい過ぎること言うなよ…
…そうだ。メシ食ったら、一緒に風呂に入って俺の身体、洗ってくれよ。俺一人じゃ今は無理だ。
お前、綺麗に拭いてくれてるんだけど…やっぱり、な?洗いたい…
そんで、手ぇ繋いでくっ付いてさ、いろんな話しようぜ。
あの後、空白の十年間、何をしてたのか教えてくれよ。
俺も話したいこと聞いて欲しいことがいろいろあるんだよ。
希…大好きだ。愛してる…」
「斗真…お前ってサイコー!
急いで飯の用意するから待っててくれ。」
希はクッションを置いてダイニングの椅子に俺を座らせると、あっという間に料理を完成させた。
「希、お前随分手際がいいんだな…ずっと自炊してたのか?」
一瞬寂しそうにふっと笑うと
「…後で全部ゆっくり話してやるよ。
さ、冷めないうちに食べようぜ。」
しっかり出汁を取った味噌汁は、料理の得意な俺のお袋のより格段に美味かった。
ともだちにシェアしよう!