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第88話

初めての希の手料理はマジで美味くて。 三度もお代わりをした。 希はうれしそうに俺の食べっぷりを堪能して、すっかり満足し切った俺を見ては微笑んでいた。 「あー、すっげえ美味かった。ご馳走様でした。 こんなに作れるのにコンビニ弁当ばっかだったなんて…もったいない…まぁ、仕事に追われてたしな…」 「あぁ。確かに帰国してからは忙しかったし『自分のために』…って気持ちにならなくてさ。 大概のものは作れるから、お前のためなら…リクエストには答えてやれるよ。」 「うーん…何か…新婚さんの会話みたい…飯作ってくれるお前は嫁?ん?でも受け入れてるのは俺…」 何気なく言った俺も聞いてた希も同時にばふっと音が出そうなくらいに顔が真っ赤になった。 「斗真…頼む…俺の理性のフラグを折らないでくれないか…俺、必死で戦ってるんだから…」 うっ…これくらいで不用意な発言…か?『戦い』って大袈裟な! 希のスイッチの加減がわからない… 「…善処する…」 「とりあえず片付けるわ…斗真、お前動くなよ。終わったら風呂入れてやるから。」 真っ赤な顔のまま慌てて流しへ片付けに行く希をぼんやり眺めていたが、はたと気がつく。 風呂の方がヤバいんじゃねぇ? 真っ裸で身体触られたら… フラグ折れかかってんだろ? マズい方向に行っちゃってる? あー、俺が『お願い』したんじゃん… どうか何事もなく風呂から上がれますように…

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