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第89話

キッチンを片付け終わった希は俺の横に来ると、そっと腕を差し出して言った。 「立てるか?」 「…ん…大丈夫…」 うっと呻き声を上げながら、希とテーブルに掴まり何とか立ち上がると、介護よろしく よぼよぼと覚束ない足取りで希に支えられながらバスルームへと歩いて行く。 「…ほんっとに手加減なくやりやがって…」 「だから、ごめんって言ってるじゃないか。 愛するがゆえの俺の行為を許せよ。」 希はクサイ台詞を吐きながら、ブツブツ文句を言う俺を抱え宥めてはバスローブを脱がせ、腰が辛くないように壁に手を突かせてくれた。 手早く自分も服を脱ぐと 「立ったままで洗うよ。一旦座るとキツイから。少し足開いて…目を瞑ってて。」 言われるがまま足を開き目を瞑る。 お湯が頭から全身にかかり心地よさにホッと一息つくと 「髪の毛洗うよ。ちゃんとしてて。」 髪の毛や身体中にこびり付いた青臭い匂いが流れてゆき、代わりにシャンプーのいい香りがして、わしゃわしゃと頭皮を撫でられる。 気持ちイイ… 希と同じ香りだ… あっという間にコンディショナーも洗い終え、今度は身体をふわふわの泡で撫でるように洗われているようだ。 時折感じるトコロに当たり、身体がびくっと反応して恥ずかしい。 目を瞑ったままの俺は、どこを触られるかわからなくて敏感になっている。 「ここも…掻き出したけど、ちゃんと後始末しとこうね。お腹痛くなったら大変だから…」 耳元でささやかれたと思ったら、次の瞬間、希の指とシャワーのお湯が窄まりに入ってきた。 「ひやぁっ!」 「いい子だから我慢してて。すぐ…終わるから。」 「希…恥ずかし過ぎる…そこは自分でするから…ちょっと止めてくれ…」 「ダメだよ。腰捻らないと届かないだろ? 俺がするから…それに、これよりもっと恥ずかしいこと散々やってるじゃないか。」

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