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第90話
「ううっ…確かにそうなんだけど…そこまでしなくっても…時間かかっても俺、自分でするから…」
「今更何だよ。『洗ってくれ』って言ってきたのお前だろ?
ダンナの言うこと素直に聞けよ。俺の大事なヨメさん。」
「『ヨメ』って!?やっぱり俺が『ヨメ』!?
うー…複雑…」
観念して目を閉じたままうーうーと身悶えしてる俺を希は自分の思う通り隅々まで洗い尽くし、自分もさっさと洗ってしまうと満足気に
「さあ、これで綺麗になったぞ。
はい、掴まって!」
俺の頭の中は『ヨメ』という単語がぐるぐると巡っていて…
あぁ、やっぱりそうなんだよな。
希はスパダリだから…認めるしかないか…
いや、一応俺だって男だから…うーん…
唸る俺を尻目に、希はこれまた身体の隅々まで拭き上げ、念入りにドライヤーをかけ、隙を見てはあちこちにキスの雨を降らせ、用意周到に準備してあった湿布をペタペタ貼り倒し、バスローブを羽織らせてベッドへと連れて行った。
「服の脱ぎ着も大変だからさ、しばらくこれね。
ふふっ…動けない斗真…何だか監禁してるみたいで…イケナイ妄想が溢れそうだな…」
「何恐ろしいこと言ってるんだよっ!
大体誰のせいで」
「はいはい、俺だろ?ごめんごめん。
コーヒー淹れて来るから待ってて。
…クッションこれでいいか?楽な姿勢にしないとな。」
くつくっと笑いながらキッチンへ消えていった。
うーっ。誰のせいだよ。
腹立ち紛れにネットで『腰痛体操』を検索してみる。
動画付きって…おっ、これ簡単そう…
おおっ!?楽になる。これ、すっげぇーわ。
調子に乗ってあれこれやってみる。
いい感じ!
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