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第98話
「覚悟なんて…とうの昔にしてるって!
斗真…斗真っ…一生大切にする。だから…俺から離れないでくれ…」
俺を抱きしめる希の身体が微かに震えている。
そんなになるほど俺のことを想ってくれているのか?
愛おしさが募り、希を抱きしめ返す。
しばしその温もりを堪能して、見つめ合い、またキス。
次に離れた時にはお互いの唇に銀の糸が、つーっと繋がっていた。
「指輪…買いに行かなきゃ。お前、好きなブランドあるのか?
それと、区役所に行って婚姻届もらわないと!」
照れ臭そうに希が呟いた。
「指輪か…何か照れるなぁ…特に好きなのってないけど。
俺は…お前の籍に入っていいのか?親父さん達、反対しないのか?
俺、親父さん達に会いに行かないと。事後報告じゃダメだろ?いつ行こう…」
「俺が斗真を想ってることは小さい頃から知ってるよ。
兄貴も反対しない。
わざわざ海外まで行かなくてもいいよ。今日、時間見て電話するから。
お前ん家こそどうなんだ?俺こそ、ちゃんと挨拶に行かないと。
って言うか…俺、受け入れてもらえるのか?」
「挨拶なんて…俺んとこは…大丈夫だろう。もし反対されても、俺はお前と結婚する。
兄貴二人も結婚して子供がいるからな、跡取りがどうとか絶対言わないよ。
兄貴達に根回しの電話しとかなきゃ。」
話が一気に現実味を帯びて、何だかドキドキワクワクしてきた反面、一抹の不安が心をよぎった。
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