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第100話
「あ、もしもし、俊兄 ?
斗真だけど…今いい?」
「おー、生きてたか。金なら無いぞー。」
「金はいらねーよ。自分のことぐらい自分でやってる。
…ちょっと相談があるんだけど…」
「おう。ちょっと待てよ、移動する。
ん?どーした?」
「うん、あのさ…俺…結婚しようと思うんだ。」
「お、やっと観念したか。で?日本に呼ぶのか?アメリカ行くのか?籍はどっちに入るんだ?」
「…え…俊兄…何言ってんの…何で?」
「相手…希だろ?よかったな、にーちゃんはうれしいぞ。」
あれあれ?どういうことだ?
何で相手が希って知ってるんだ?
「俊兄…何でわかったん?」
「希があっちに行ってからのお前は見てられなかった。これでもさ、心配してたんだぜ俺達。
お前見てたらバレバレでよ。
寄ってくる女もカチ無視、条件のいい見合い話をどんだけ持っていっても無視。
ゲイかと思えばそうじゃないし。
お前の伴侶は女でもなく男でもなく、希だった ってことさ。
斗真…心配すんな。俺も翔也も子供いるから、家のこととか跡取りのこととか、世間体とか気にしなくていい。
お前が真剣に考えて選んだ相手なら、にーちゃん口出ししないから。
親父とお袋が何か言っても俺が上手く丸め込んでやる。
….おい、おい斗真?
…泣くなよ、バカ。 」
「…ひぐっ…ひぐっ…俊兄…ありがと…」
「ま、近いうち希と一緒に顔見せろや。
お、呼び出し掛かったー。じゃあな、斗真。
また電話してくれ。」
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