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第104話
とうとう着いてしまった…
先に玄関に入った俊兄の呑気な声が響いた。
「親父ぃー、お袋ぉー!二人連れてきたぜ!」
ご無沙汰続きの我が家…家を出てから数回しか帰ってきてない。
というか、二人の兄の結婚式の2回だけか。
何となく高い敷居を思い切って踏み越える。
「ただいま…」
バタバタバタ
「お帰りっ、斗真。生きてたのね!
希君っ!?やだぁ、めっちゃイケメンじゃないのっ!!元気だった!?こんなに大きくなって…
さ、疲れたでしょ?二人とも早く上がってちょうだい!」
「お、二人ともお帰り!元気そうだな。
上がれ上がれ!」
希が挨拶しかけるその口を封じ込め、靴を脱ぐのも追い立てられ
先導する親父の後を追いかけるように、お袋に手を引っ張られ座敷に連れて行かれた。
流石の希もどうしていいかわからず、目を白黒させている。
どういうこと?
俺、何も言わずに『結婚相手を連れて行く』って伝えただけなんだけど。
この大歓迎ムードは何?
希と顔を見合わせて首を傾げる。
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