105 / 1000

第105話

座敷には… テーブル一杯に広げられた大皿の数々。 ど真ん中に、ババーーンと効果音のつきそうなデカい鯛の塩焼きが二尾、向かい合わせに並んでいた。 昔見た記憶のある、祭りのご馳走の数段上をいく、これらは何だ? やたらと紅白のモノが多いのは気のせいか? 床の間の前には、親父秘蔵の日本酒が並んでいる。 お袋に引っ張られるまま、真ん中の席に希と隣合わせに座らされた。 「…あのー…親父?お袋?」 「先に話を聞こうか。なぁ、母さん。」 「はいはい。」 何か調子が狂う。うちの親は何考えてんだ? どういうことか分かってんのか? 希が意を決したように座布団をサッと横に外し、キチンと正座して目の前の両親を見つめた。 「お時間を取って頂きありがとうございます。 遠藤 希です。 大変ご無沙汰しておりました。 この度、斗真君とご縁を結ばせて頂きたくお願いに伺いました。 元より同性同士のこと、反対されるのは覚悟しております。 でも、彼を思う気持ちは他の誰にも負けません。一生大切にします。 どうか、私達の結婚をお許し下さい。 お願い致します。」 畳に深々と頭を擦り付けんばかりの希に、慌てて俺も座布団を放り出して土下座した。 「親父、お袋っ!お願いします! 俺達のこと、認めて下さいっ!」

ともだちにシェアしよう!