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第105話
座敷には…
テーブル一杯に広げられた大皿の数々。
ど真ん中に、ババーーンと効果音のつきそうなデカい鯛の塩焼きが二尾、向かい合わせに並んでいた。
昔見た記憶のある、祭りのご馳走の数段上をいく、これらは何だ?
やたらと紅白のモノが多いのは気のせいか?
床の間の前には、親父秘蔵の日本酒が並んでいる。
お袋に引っ張られるまま、真ん中の席に希と隣合わせに座らされた。
「…あのー…親父?お袋?」
「先に話を聞こうか。なぁ、母さん。」
「はいはい。」
何か調子が狂う。うちの親は何考えてんだ?
どういうことか分かってんのか?
希が意を決したように座布団をサッと横に外し、キチンと正座して目の前の両親を見つめた。
「お時間を取って頂きありがとうございます。
遠藤 希です。
大変ご無沙汰しておりました。
この度、斗真君とご縁を結ばせて頂きたくお願いに伺いました。
元より同性同士のこと、反対されるのは覚悟しております。
でも、彼を思う気持ちは他の誰にも負けません。一生大切にします。
どうか、私達の結婚をお許し下さい。
お願い致します。」
畳に深々と頭を擦り付けんばかりの希に、慌てて俺も座布団を放り出して土下座した。
「親父、お袋っ!お願いします!
俺達のこと、認めて下さいっ!」
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