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第106話

一瞬の沈黙の後… 「希君!昔とえらい変わりようだな。 立派になって… くくくっ…好きにしてくれ。斗真は割とヘタレで手を焼かすかもしれんが、よかったら嫁にもらってくれ。」 「斗真…アンタが嫁に行くなんてねぇ。私は逆だと思ってたんだけど…」 「あ、ありがとうございますっ!絶対大切にしますっ! 至りませんがどうぞよろしくお願い致しますっ!」 ん?嫁?逆? それってオッケー、認めてくれたってことか? ガラッ 「おばーちゃーん、とーま、よめにいくの? おとこなのにぃ? うっわーぁ!すごいごちそう!たべていい?」 「斗真にーちゃん!結婚するのか?おめでとう!」 隣の部屋で聞き耳を立てていたであろう甥っ子達が雪崩れ込んできた。 「さぁ、祝いの席だ!みんな、飲むぞぉ! 母さん、酒!どんどん持ってきてくれ!」 それから俊兄と義姉の亜美さん、遅れてきた翔兄とその家族が入り乱れての大宴会となった。 どさくさに紛れて希に抱き着くお袋を引っぺがし、やたらと酒を勧める親父を俊兄に押し付け、食べ物を取り合う甥っ子達を宥め…俺は既にいろいろとキャパを超えてしまっていたのか、希のことが気になりながらも、早々に酔いが回り潰れてしまっていた。 薄れゆく意識の中 「希君、斗真をよろしく頼むな」 と言う親父の声が聞こえたような…気がした。

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