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第107話
ん…ここ、どこだ?
確か…希と俺ん家に挨拶に来て…宴会になって…
「希っ!」
「うわっ、びっくりした…斗真、目ぇ覚めたか?」
大声を出して飛び起きた俺に、希が柔らかく微笑んだ。
「ここ、お前ん家だよ。ネボスケめ。」
「みんな、どうした?今何時?」
「みんなまだ宴会中。今、夕方の5時だよ。
そう言えばお前ん家、飲み出したら長いのな。
あれから4時間、ドンチャンやってるぜ。
昔っから変わんねぇな。」
「あー…俺、何かパンクして潰れて…ごめんな、一人にして。
あの人達の相手、大変だったろ?」
「いや楽しかったよ。俺がアメリカ行ってからのお前のこと、ぜーんぶ教えてもらったから。
お母さんにアルバムも見せてもらった。俺の知らない時を過ごした斗真がいて…本当なら俺もそこにいて、笑ってるはずだったのに…
…楽しかったというか…逆だな…悔しくて辛かった。」
「悔しくて…辛かった?」
「うん。俺達の青春真っ只中の思い出が欲しかったなぁ。バカやって遊んで喧嘩して…それができなかったのが、悔しかったんだ。
落ち込んでるお前を見て、おやじさんもお袋さんも、俊兄も翔兄も…みんなすごく心配してたんだって。
俺も辛かったけど、お前も同じ気持ちだったんだなって思ったら…何だか余計に辛くなった。
だから、今更俺達のこと聞いても、反対するはずないってさ。
お袋さんは、絶対俺達がくっ付くと、信じて疑わなかったそうだよ。
だから
二人で仲良く幸せに…って言ってくれた…」
「そうか…俺、無自覚にそんなに態度に出てたのか…
ん?その頃からバレてたのか?
うっわーぁー、恥ずーい…」
「あ、それと今夜は泊まっていきなさいって。
日帰りのつもりだったから手ぶらなんだけど。」
「うーん…希は泊まってもいいのか?」
「斗真がそうしたいのなら、俺はいいよ。」
「…俺は…早く二人きりになりたいから帰りたい…」
「!?…ちっ、バカヤロウ…煽んなって…」
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