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朝陽 3

手を拭い、音を立てないようにすり足で立ち去った。 自分の部屋に戻り、微かに残る自分の精の匂いと恵果さんのさっきの言葉を重ねて呆然とする。 ずっと大切に思ってきた美しい人を僕は何度穢しているのだろう。 愛してもいない男に抱かれている時ですら淫らで清らかな、僕のただ一人の好きな人を。

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