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朝陽 6

庭を横切って近づくと彼は着物を整えながら僕を迎えてくれた。 「おはようございます」 「稽古帰りですか?」 答えようとする僕の手を取り掃き出し窓を開ける。 「こんな冷たい手をして、お入りなさい」 もう背筋をピンと伸ばしたいつもの恵果さんになっている、さっきまであんな顔していた癖に。

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