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朝陽 7

正座した膝の上で握り締めていた手を緩め、腕を伸ばして彼の指ごと掴んだ。 白湯の表面が波打ち熱い飛沫が手に掛かる。 「あっ」恵果さんが短く声を発した。 幾度となく見た夢の中で僕にだけ見せてくれた笑顔が今ここにある。 掴んだ手はもう離さない。 ゆっくりと引き寄せて赤くなった親指を口に含んだ

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