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朝陽 9

膝をついて腕を伸ばし、胸元に置かれた手にそっと僕の手を重ねる。 愛しい恵果さん、この一メートル足らずの距離を僕が詰めたらどんな顔を見せてくれる? 「恵果さん…」 どうしよう、あなたの名前以外口に出す言葉が見つからない。 恵果さんは僕を見て黙ったままだ。 僕はゆっくりと元の姿勢に戻った。

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