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朝陽 24

帰り際に舌打ちをして去って行く男の背中を確認して、泣きそうな顔で膝を寄せ合わせる恵果さんの方を見た。 男の手が嬲っていた箇所を見ない様に、すっかり肌蹴た着物の前を掻き合わせる。 「今更隠すこともないでしょう」 思わず口から出た言葉にはっとする。言いながらなぜ僕は泣いているのだろう。

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