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朝陽 51

深い呼吸を繰り返しながら上がった息を整えた。 恵果さんの上げた声がまだ頭の中に響いていて幸せな余韻を作っている。 既に力の抜けきった身体を後ろから抱きしめて、つむじや頬にキスをしながら果てたそれをゆっくりと出すと、塞ぐものがなくなった孔から僕の体液が流れ出た。 膝まで伝い落ちたものをざっと拭い取り、体が冷えない様に下に広げた着物を掛けた。 「すいません、待っててください」 聞こえているか分からないけれど一言声を掛けて勝手知ったるこの家の風呂場に向かった。お湯を張っていると子供の頃に恵果さんとお風呂に入った事を思い出して独りでに笑みがこぼれたのに、何故か涙が頬を伝った。 まだぐったりと体を横たえている恵果さんを着物で包んで持ち上げて、閉じた瞼に唇を寄せる。いつの間にか軽々と抱き上げられる様になっている自分に驚き、それがくすぐったかった。

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