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恵果 52

気が付けば朝陽さんが、私を抱いて湯浴みに来ていた。 意識はあったが、どこか朦朧としていて気が付いたのは湯殿のお湯を掛け流された時だった。 「朝陽さん...」 ぽーっと、しているのに私を支える逞しい胸に抱かれ、体を流して貰っていた。 「痛いところありませんか?加減が分からず無理させてしまっていたらと思うと…」 そう言いながらも、私の中へ指を押し込んで彼の残骸を掻き出して行く。 その度にあられも無い声を上げないように堪えて逞しい体に頬を寄せた。 「昔は、私が洗ってあげてたのが懐かしいですね」 そう思い出しながら彼がもうすぐ、この地を去る事を胸の奥底で安堵していた。

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