それは、もしかしたらそのままの意味だったかもしれない。でもこの時僕は、お前のような子供などお呼びではないのだと言われたような気がしたのだ。 「じゃあ、僕の気持ちはどうなるのですか？これまでも、これからもずっと…一緒に」 バカみたいな事を言いながら身体の奥底から名前の分からない衝動が湧いてくるのを感じていた。 髪の隙間から項近くに赤いものが見えた。 「これは…」髪をよけようとした指が手で遮られた。隠そうとするのを鷲掴みにして頸を露わにさせる。 「こんなところにまで歯形を付けられて…」 僕の言葉に押し黙ったままだった恵果さんがきっぱりと言った。 「私は汚れた大人だから、貴方は、自分の進む道を見誤ってはいけません」 「では、一昨日の事は遊びだったとでも！？」 そう言いながら、自分の中で何かが弾けるのを感じた。 驚く恵果さんを畳に押し倒し、馬乗りになる。止めろという声を無視し振り払おうとする腕を肩から抑え込んで、躰が逃れられない様に畳に押し付ける。 肩を握る指に力が入り、恵果さんは痛みで顔を歪めた。 もうこれは痕を付けた男への怒りではなく、自分の思いを受け止めてくれない恵果さんへの憤りと欲望の発露だった。