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初めて触れた夜①
初めての時をリカ視点で書いたお話です。
最初から最後までR18となっております。
*
「リカちゃんがほしい」
そう言った時の君の顔が、今でも忘れられない。
「あっ……あ、やだ……っや、だ」
身体を捻り、初めての刺激から逃げようとする慧を抑え込む。荒い呼吸で上下する平らな胸に舌を這わせると、何度も何度も小さな乳首を虐めた。
女とは違う、一切膨らみのない胸。柔らかくも弾力もないそれに、こんなにも魅力を感じる自分に少し驚いた。
胸の尖りを舌で弾く度に喉を震わす慧に、もしかして経験あるのだろうか、と不安になる。
理由もなく募る不安は、幼い嫉妬心の裏返しであることはわかっていた。
あまりにも良すぎる感度に、他の誰かの痕跡を探してしまうなんて、自分で自分の首を絞めるようなものだ。
「そんなとこ、触られたこと……ない。」
冗談めかして問うと、慧は恥ずかしそうにそう返す。その返答に、心の奥に押し込めた醜い自分が満足するのを感じた。
「あったら許していない」だなんて大人げないことを言っても、きっと慧は本気にはしない。どうせまた口先だけの言葉だと、軽く流してしまうのだろう。
それでも、俺は知っている。
本人は隠しているつもりかもしれないが、興味のないふりをして、こたらを気にかけていることを。いつも冷めた返事をしながらも、隠れて様子を窺っていることを。
それが嬉しくてたまらない。けれど、絶対に言ってやらない。
知らない素振りを続けるのは、お互いの為だと言い聞かせて、決して開かないよう心に蓋をする。そうしないと、この関係は続けられない。
「ん、や……リカちゃ、ん」
頭の半分を熱に浮かされ、残り半分は冷静な状態。愛撫を施しながらも思考を止めずにいると、組み敷いた慧がもどかしいと腰を揺らした。素直すぎる反応が愛らしく、下着の上から性器を握りこむ。
薄い布地の中で、自分の物と比べ、小さな象徴が存在を主張していた。胸だけの愛撫で反応を示す慧が可愛らしくもあり、同時に少し心配だ。
もし、俺以外が慧に触れ、そして慧も受け入れてしまったら?
世間ではそれを同意と見なすのだろうけれど、男なんて快感に弱い生き物だ。たとえ特別な感情はなくとも、身体が昂ることは大いにあり得る。
頭の奥から全身へと伝わる『早く触れろ』という命令。
本能が伝えるそれは、他人が慧に触れる前に……慧が他を受け入れる前に、自分のものにしろという、浅ましく傲慢で狡猾なものだった。
半分だけ残っていた冷静さが姿を消し、欲望だけが脳を占める。
既に自身を制御できない状況の中、視界に映ったのは慧の先走りで染みのできた下着で……。
――ああ、勿体ない。
制止も聞かずに下着をずり下ろし、現れたそのままの慧に舌を這わす。期待と緊張で小刻みに震えるそれを啜る度、ねっとりとした蜜が零れた。
一滴も残すことなく舐めとったはずなのに、飲んでも飲んでも止まない喉の渇き。体内に他人の体液が入ってくるなんて、想像するだけで嫌悪を抱くはずが、慧が相手だとそれを感じることはなかった。
ただ、喉が渇いて仕方がなかった。
「リカちゃ、リカちゃ……まっ、待って」
初めての口淫に衝撃を受けたのだろうか、それとも元々なのだろうか。すぐに射精しそうになった慧が俺の頭を押さえる。
髪に絡まった指に力が入る度、鈍い痛みが走るけれど、慧が与えるものなら痛みさえ俺を喜ばせる。今この瞬間が現実なのだと実感する為には、目に見えるものだけでは足りない。
肌に触れる体温と、耳から届く声と、鼻先をくすぐる独特な香り。
そして、絶えず送られる微かな痛み。その全てがなければ、夢だと間違ってしまいそうだ。
けれど、いくら受け入れたとしても、限度はある。射精が近づくにつれ、慧の指の力は強くなり、絡まったそれが縋りつくように拳を握った。強まった痛みに眉間に皺が寄るが、本人はそれどころではないらしい。
「あっ、う……っんん、だめ、も、出るっ」
限界まで張った慧の性器が絶頂を迎えようとした時、俺は喉の奥まで咥え込み思い切り吸った。 空いていた手で内腿を優しく撫で、心の陥落を促すことも忘れない。
「く、う……だ、やだやだっ、や……ああっ」
口内いっぱいに広がる青臭い味。およそ美味いとは思えないそれを、躊躇うことなく飲み干す。
俺は、自分でも認めるほど極度の綺麗好きだ。軽く潔癖が入ってると言っても過言ではない。
そんな俺が排泄器を口に含み、吐き出された男の精液を受け入れる。それを許すのは、この世にただ1人だけしかいない。
「っん……はっ、はっ……あ、あぁ」
「ご馳走様、慧君」
大きく深呼吸を繰り返しながらも、睨みつける強気な子。裸に剥かれても尚、歯向かう姿勢を貫く子。
隣に住んでいる高校生、大事な友人の弟。
俺たちの関係は大人と子供で教師と生徒、そして――奪った男と、奪われた男。
恋人なんかじゃない。そんな甘い関係とは、対極にいる。
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