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3. Because I Love 6
「あ……イっちゃった……」
肩で息をしながら、潤んだ瞳で恥ずかしげにそう呟く。こんな些細な刺激で果ててしまうほど、七瀬は俺のことが好きなんだ。そう思うと、また愛おしさが込み上げてくる。
「七瀬」
最奥まで貫いたまま、細い身体をギュッと抱きしめる。耳元で名前を囁けば、腕の中の身体がぶるりと震えた。
「俺、カイくんの声、好き……」
七瀬はそう言って顔を上げ、額をくっつけてくる。
「カイくんのキリッとした顔も、いい感じに締まってる身体も、頭がいいところも、ツンツンしてるけど本当は優しいところも、全部大好き」
頬を赤らめながらそんな告白をしてくる七瀬の身体は、汗に濡れて熱く火照っている。
「あと、おちんちんがおっきいところも。ふふ」
付け足すな。
ゆっくりと揺さぶっていけば、七瀬は振り落とされまいとするかのように俺にしがみついてくる。スプリングが軋む音に合わせて、耳元で甘い喘ぎ声がこぼれ出す。
「あっ、いい、……奥、あたる……あぁッ」
頼りないぐらいに華奢な背中をしっかりと抱き寄せて少しずつ抽送を速めていけば、七瀬は身体を震わせながら上擦った声で快楽を訴えてくる。
熱く蕩ける七瀬の中は、水音を立てて蠢きながら俺を包み込み、高みへと追い上げていく。
ちょっと、いや、かなり変態だが、かわいい七瀬。
七瀬が俺以外の誰かにつきまとってこうして肌を合わせることなんて、考えたくもない。
そのもやもやとした気持ちの正体が何なのかを、本当はもうとっくに気づいてる。
「──ああっ、カイくん、カイくん……ッ」
何度も名前を呼ぶのは、限界が近い証拠だ。ぴたりとくっついていた身体を俺はそっと離し、律動を緩めて顔を覗き込む。
肩を震わせながら涙目で俺を見つめる七瀬は、やっぱりとてもかわいかった。
「カイくん、何……焦らしプレイ? そういうのも、好き……」
そんな七瀬の喜ぶ顔が見たいと思った。
だから、俺はずっと言えずにいた言葉を、とうとう口にする。
「好きだ」
たった一言を伝えただけで、心臓がドクドクと大きく跳ね上がる。
けれどその瞬間、七瀬は目を見開き──あからさまに困惑の表情で俺を見た。
予想外の反応に、俺は驚いて動きを止める。
「七瀬、好きだ」
もう一度、口にしてみる。けれどそれは虚しく宙に浮いてしまって、七瀬の心には届かない。
唇を噛み締めて俯いたまま、ふるふるとかぶりを振るその顔は、今にも泣き出しそうに歪んでいた。
「……七瀬?」
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