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7. the Way You Are - side M - 4

グラウンドに設置された特設ステージの裏に行けば、ミスコンの参加者は既に集合していた。 各学年十クラスあるから、参加者は三十人になるはずだ。 だいたいクラスに一人ぐらいは女装映えしそうなかわいい顔をした人はいるもので、各クラスの精鋭に囲まれた俺はもう居た堪れなくてすぐにでも回れ右をして帰りたい気分だった。 そもそも俺はこんなふうに人前に出るようなキャラじゃなくて、しかもなぜかノーパンなんだけど。 それでも、愛しい李一くんのためなんだから、ここを逃げ出すわけにはいかない。 緊張しながら所在なく立っていると、遠くから真っ直ぐこっちに近づいてくる影が目に入った。 どこの学校の子だろう? テレビの世界から飛び出してきたような美少女が、ふわふわの髪を揺らしながら歩いてくる。 男子校にこんなかわいい女の子が一人でウロウロしてたら危ないよ。 皆が目を丸くして見つめる中、その子はなぜだか俺に向かって素っ頓狂な声をあげた。 「あれ? ミイくん?」 「え? ええ?」 真近で見れば、間違いなくその子は隣のクラスの七瀬くんだった。 なんだこの殺傷能力を伴う愛らしさは。もはやこんなお遊びのミスコンなんて出ちゃいけないレベルじゃないか。 けれど七瀬くんは、皆の視線をもろともせずに話し掛けてくる。 「わあ、びっくりした! ミイくん、きれいなんだもん」 いやいやいや、それはないでしょ。全力で首を横に振る俺に、七瀬くんはきれいにカールした睫毛の下から、窺うように俺の顔を覗き込む。 「……ああ。でも、やっぱりそうなんだ。ミイくんって」 「はあい。参加者の皆さん、聞いてくださーい」 七瀬くんの言葉は、実行委員の声に中断されてしまう。あとでね、と肩を竦める七瀬くんに、俺は気がかりなまま頷くしかなかった。 ステージ上に見世物のように並ばされて、もう本当にどうにでもなれという気分だった。 どこを見ればいいのかもわからなくて、もじもじと視線を泳がせることしかできない。司会者が何かを喋ってるのが遠くで聞こえるけれど、ドキドキして言葉が耳に入ってこない。 何よりも、この角度なら観覧者からも見えないと思うんだけど、ノーパンでこんなところに立っているという状況が気になってしまって、むしろ人前に出てること自体は恥ずかしくも何ともない。ひょっとするとこれも李一くんの計算なのかもしれない。 ステージの周りはすごい人混みでごった返してて、李一くんがどこにいるのかなんてとてもじゃないけど見つけられそうになかった。 スマホやデジカメをあちこちから向けられて、そのほとんどが七瀬くん目当てなんだろうけど何だか居た堪れない。

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