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10. Love You, too 3

伸びてきた舌が唇の隙間を割って入ってくる。ぬるりとした感触は一瞬で引っ込められて、反射的に物足りなさを覚えて目を開けた瞬間、水着の中に手を差し込まれてしまう。確かめるようにそっと触れてくる指がくすぐったい。 「あ、カイくんすごい。おっきい」 うるさい。 そう口にするよりも先に、七瀬が熱の籠った眼差しで俺を見ながらとんでもないことを言い出した。 「俺、授業中ずっとカイくんのこと見ないように我慢してたんだよね。だって、見たら絶対勃っちゃうんだもん」 それは賢明な判断だと思う。クラスの皆がいる前でそんな状態になってしまえば、もはや目も当てられない。 「だから、ご褒美をください」 一体どんな理屈なんだと呆れ返る。 どこから光を集めているのかというぐらいにキラキラと瞳を輝かせながら、七瀬は小首を傾げてねだってくる。握り込まれたそこを緩々と扱かれて、思わず吐息が漏れた。 腹が減っているのは確かだった。けれど食欲が性欲に勝るというのは、極限の状態に陥ったときに他ならない。 「七瀬」 名前を呼びながら俺の半身を弄る手首を掴み上げて引き離せば、泣きそうに瞳を揺らす。これだけ押しが強いくせに、少し拒絶されたぐらいでそんな顔をするのは反則だと思う。 「いいか、あんまり時間はないからな」 吐き捨てるように告げれば、途端に七瀬は満面の笑顔を見せて大きく頷いた。 「うん!」 俺の性欲が食欲に勝るのは、七瀬が無駄にエロいからだ。 華奢な両肩を掴んでぐるりと回り込み、ロッカーへと身体を向けさせる。浮き上がった肩甲骨に噛み付くように腹立ち紛れのキスをすると、小さな悲鳴が聞こえた。 授業の余韻で湿っているハーフパンツを膝まで下ろして指先で後孔に触れれば、そこはもうぬるりと水分を含んでいた。 「あ、大丈夫! 準備しといたから」 いつどこでどうやって準備したんだ。色々と気になって仕方がないが、それを訊くとドツボに嵌りそうで、あえて触れまいと心に決める。 濡れたそこにツプリと指を差し挿れると、スチールの扉に両手をついた七瀬の背中がひくんと小さく震えた。熱く柔らかなそこは、容易く異物を呑み込んで奥へと誘い込む。 「あ、ん……あッ」 深いところをぐるりと掻き混ぜれば、甘い喘ぎ声がこぼれ落ちる。恐ろしいことに準備をしたというその言葉に偽りはないようだった。 準備だか何だか知らないが、そんなところを誰かに見られてはいないだろうな。 ふとその場面を想像してみただけで眩暈がする。胸のざわつきを覚えながら指の本数を増やして解していくうちに、熱を孕んだ中は蕩けながら吸いついて俺を誘う。

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