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10. Love You, too 5

「……は、あ……、カイく……ッ」 一応気を遣ってるつもりなのか、いつもよりも抑えた喘ぎ声が却って悩ましい。 一層敏感になった中を擦るように抽送を繰り返して快感を追いかける。座面の硬く冷たい感触とは裏腹に、俺を包み込む七瀬は柔らかくて優しい。 しがみついてくる身体を抱き返すと、合わさる肌と肌が七瀬の放ったものでぬるりと滑った。 「カイくん、好き、好き……」 濡れた前髪の隙間から投げかけられる眼差しが不安げに絡みついてくる。泣きそうな声で何度も好きだと訴えてくる七瀬は健気でひたむきだと思う。 いちいち口にしなくても、わかってるって。 そう言い返せないのは、わかったその先で自分が取るべき行動を、未だに思いあぐねているからだ。 「あ、気持ちいい……っ、カイくん、まだ……?」 擦れる内壁がまとわりつきながら絞り上げるように締めつけてくる。七瀬と同じように、俺ももう限界が近い。 「や……、あぁッ」 ふと動きを止めれば繋がる部分から聞こえる水音がぴたりと消えた。 目尻に涙を浮かべた七瀬が、ゆらゆらと揺れる瞳で俺を見下ろしてくる。その顔が、ムカつくほどにかわいい。 「あ、も、イきた……っ」 快楽を求めてじりじりと動く腰に腕を回して押さえつけると、七瀬は苦しげな呼吸を繰り返しながら腕の中で小さく身じろぐ。 悪い、七瀬。 「五秒だけ、じっとしてろ」 奥まで繋がったまま、熱い身体を強く抱き寄せる。つんと鼻に届くのは、嗅ぎ慣れた体臭に混じる微かな塩素のにおい。 声には出さず耳元でそっと唇を動かす。吐息だけで刻み込むのは、七瀬にはとても聞かせられない言葉。 「……カイくん?」 言われたとおりに大人しくしながら怪訝な声を出す七瀬をぎゅっと抱きしめる。止めていた抽送を再開した途端、七瀬は上擦った悲鳴をあげて俺にしがみついた。快感を受け入れようと、揺さぶられるままに腰を振ってくる。 細い身体にはきちんと男子高校生なりの筋肉がついていて、しかも艶めかしい。 こんな格好で人前に出るな。水泳の授業なんて、お前はずっと見学しておけばいいんだ。 それが素直に言えればどれだけいいか。 「あ、ダメ、も……ッ、イく……!」 上擦った声と共にドクドクと七瀬の中が収縮を始める。縋りつく身体を抱き返しながら、俺はその最奥に溜め込んでいた熱を幾度にも分けて吐き出した。 荒い呼吸に合わせて動く背中を宥めるように撫で下ろしながら、鼓動を落ち着かせるために深く息をつく。暑さと気怠さで頭がぼんやりしていた。 「カイくん、気持ちよかった……?」 「……見ればわかるだろ」 「へへ」 幸せを絵に描いたような顔を向けてから、七瀬は手を後ろに回して繋がった部分を愛おしそうに指先でひと撫でする。根元に触れるぬるりとした感触に背筋が震えて、思わず吐息が漏れた。 こうやって躊躇いもなく気持ちをぶつけてくる七瀬に、しがみついて甘えてるのは俺の方だ。

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