74 / 82

11. My Heart Aches 3

なんで目の前でオカズにされなくちゃいけないんだ。 呆れてる場合じゃない。屈み込んで七瀬の腕を取り、強引に引き寄せた。 「あ、やだやだ……!」 快楽を取り上げられて涙目で訴えてくる七瀬の瞳を覗き込みながら、軽くキスをする。 全く、本当に面倒くさい。 「やってやるからしっかり掴まっとけ」 「え? あ……ッ」 床に膝を付けて、七瀬の背中から手を下へと這わせていく。指先で後孔の襞に触れればしがみつくように絡まる両腕にいっそう力が入った。 「あっ、あ、挿れてえ」 耳元でねだられるままに指を挿入していけば、そこはもうしっとりと濡れていた。纏わりついてくる熱い内部を、性急に解していく。 「ん、あぁ……ッ、イきそう……ッ」 達する寸前で引き抜く度に、七瀬は泣きそうな声をあげてかぶりを振る。きゅんきゅんと切なく指を締めつけてくるそこは俺を受け入れるのにじゅうぶんなほど蕩けていた。 「カイく……イきたい、イきたい……」 なのに急に身体を離して、七瀬は息をつきながらまたカバンの中を弄る。そこから取り出したのは、今日配られたコンドームの箱だった。 「これ、練習したから、使うっ」 なぜだか高らかにそう宣言してフィルムを破り、自分のものに付けようとしている。 おい。まさかここへ来て俺に突っ込もうとしてるんじゃなかろうな。 「違うもん! カイくんの服、汚さないためだもんっ」 頬を赤らめながらおぼつかない手つきで先っぽを摘まみ上げ、先端から伸ばそうとしてはその都度引っ掛かっている。不器用で見ていられない。 「あー貸せ、もう」 「えっ! カイくんがコンドーム付けてくれるとか、すごくエッチなんだけど! ムラムラする……!」 「うるさい」 ムラムラも何も、お前とっくに完勃ちだろ。 呆れながら両手で巻き下ろしていくと、七瀬はそれをまじまじと見つめている。 「ほら、動かすなって」 「あっ、だって、感じるもん……」 ピクピクと揺れるそれを包み込むように押さえつけると、上擦った声をあげて俺を見てくる。そんなエロい顔をするな。そう言いたくなるのをグッと堪えて視線を下げれば、かわいい顔に似つかわしくない立派なサイズのものが薄いピンクの膜をピンと張り詰めさせていた。 「ほら、これでいいか」 「うん、ありがと。じゃあカイくんのは俺が付けるねっ」 そう言うや否や、もうひとつコンドームを取り出してフィルムを破っている。先程あれだけ付けるのに苦労してたのに一体どうする気かと思いきや、俺の先端にそれを押しあてて、やにわに屈み込んだ。 ちゅ、と音を鳴らしてゴム越しにそこに口づけてから、奥へと咥え込むように少しずつ伸ばしていく。

ともだちにシェアしよう!