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11. My Heart Aches 4
「……ちょ、お前」
「ん、んっ、はひふん……」
七瀬、一体どこでそんなことを覚えたんだ。
心臓がバクバクと激しく鳴り出して、せめてそのエロい光景を見ないように俺は目を閉じて視界を閉ざす。
けれどやはりコンドームは半分ほどのところでつかえてしまって、しばらく必死に格闘していた七瀬はやがて諦めて口から吐き出してしまう。
「ごめん、俺、下手かも……っ」
「サイズが」
「へ?」
「サイズが、合ってないんだ」
濡れた唇をテラテラと卑猥に光らせながら、七瀬は呆然と俺の顔を見つめる。
「サイズとか、あるの?」
知らないのか?
「あ、そっか! カイくんのおちんちん、おっきいもんねっ!」
おい、デカイ声で言うな。
なんだなんだそっかー、と安心したように言って、七瀬は座り込んだまままま両腕を首に絡めて向かい合わせに俺に跨ってきた。
「でもちょうどよかった! せっかくもらったけど、付けない方が好きかも」
そう言って、軽く唇を啄ばんでくる。さっきまでコンドームを咥えていた名残で流れ込む独特なにおいに顔を顰めるけれど、濡れた眼差しに見下ろされて次の言葉をなくしてしまう。
「俺、カイくんとエッチするの、好きだし。そのままのカイくんを感じたい」
ああ、馬鹿みたいだ。そんな真っ直ぐな言葉に揺さぶられる程度には、俺は七瀬が欲しいと思っている。
へへ、と笑う七瀬の小さな入口に先端をあてがって、ぬるぬるとくすぐってやる。七瀬は小さく喘ぎながらゆっくりと腰を落としてきた。吸いつくように絡みついてくるそこは熱く蠢いて俺を柔らかく包み込む。
「あ……っ、だから、今日も中に出して……」
それで負担が掛かるのは自分の身体だとわかってるくせにこうしてねだってくるなんて、七瀬はやっぱり変わってる。
奥まで到達して軽く腰を揺すれば、それに合わせて切羽詰まった声がこぼれ落ちる。
「あっ、あ、もうイっちゃうよ……ッ」
まだ挿れたばかりなのに絡みつく七瀬の中はヒクヒクと小さな蠕動を繰り返していた。身体を離せば涙目で俺を見ながら必死に訴えてくる。
「カイくん、イきたい、イきたい……」
焦らすように白いシャツのボタンを上からひとつずつ外していけば、はだけたそこから現われるのは熟れた小さな果実。ぷっくりと控えめに主張する突起を摘まんでみると、ひときわ高い声があがった。
「ひゃあっ、あ、あぁ……ッ」
そのまま何度か軽く突き上げれば、七瀬は呆気なく達してしまった。ぎゅうぎゅうと締めつけてくるその動きに持っていかれそうになるのを息を吐いてどうにかやり過ごす。
下を向けば、七瀬が吐き出した白濁はきっちりと膜の中に収まっていた。まあ一応役には立ってるなと、どうでもいいことを思う。
荒く息をつきながら、七瀬は恍惚とした眼差しを俺に向けてきた。
「カイくん、好き……」
七瀬はどうして俺を好きなんだろう。
いつ離れていくとも知れないのに愛おしいなんて思うのは不毛だと思う。それでも時々無性にかわいく見えてたまらない。
「……カイくん?」
きょとんと一瞬目を見開いて、それから七瀬は妙に嬉しそうに微笑む。
「カイくん今、俺が一番好きな顔してる」
そのおかしな物言いに眉を顰めれば、七瀬は言葉を続けていく。
「エッチしてるときって、カイくんの普段見られないところがたくさん見えるし。それを俺が全部独り占めできるのが嬉しくって、もうゾクゾクするんだよねっ」
照れたように視線を下げてから、そっと唇を重ねてくる。ラテックス特有のにおいはまだ消えてなかったけど、舌を挿し込んで貪っていけばやがて唾液に薄まっていつもの七瀬の味に戻っていく。
舌が絡み合う度に俺を包み込む七瀬の中が濡れた音を立てながら挑発的なまでに蠢く。
「──ん、ふっ、ん……ッ」
揺さぶるように抽送を再開すれば、合わさる唇の隙間から喘ぎ声がこぼれていく。それを封じ込めるためにまた口づけ直して細い身体を両腕で抱えてやると、また締めつけがきつくなった。快楽に素直に流されるまま奥を抉るように突いていくうちに、とうとう唇を離して七瀬はぶるりと背中を震わせる。
「あぁっ、カイくん、イく、イく……ッ」
強く収縮を繰り返すその最奥に、溜め込んだ欲を吐き出していく。最後の一滴まで注ぎ込んで、耳元で聞こえるのは七瀬が囁く歓喜の声。
「ん、カイくんの、熱い……」
七瀬は本当に馬鹿だと思う。
セックスしなくったって、お前はちゃんと俺を独り占めしてるよ。
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