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「っ、やだぁっ、離し……ひぅぅ……」  引き攣った舌で紡ぐ言葉には本物の怯えを含む。 「……おっ、ンぉね……きたなっ、ぁあああっ!」 「あんたは、汚くない」  戒めるように、鈴口を指の腹で抉られ噎び泣く。  一緒に袋を揉みしだかれ、内腿を痙攣させて自身の足の間に身体を置いた男の髪に指を絡めることが一磨に残された行為。  ──コワ、レル……。  グシャグシャに泣きはらした顔を拭うことも出来ず、過ぎた快感を覚え込まされる。  自分ならいざ知らず、こんな所彼が舌を這わせる様なところではない。  嫌だ  お願い  汚い  離して  拒絶の言葉も綺麗サッパリ無視され、怯えて逃げを打つ細い腰もしっかりと固定されて退路を阻まれる。  奥まったところも同時に弄られる。  時折掠められる指先に自分が溶けて無くなってしまうような錯覚にされる。  なけなしの理性が食い破られる。  内側から舐められているという感覚にも。  故意に立てられる音にも。  送り込まれる唾液にも。  乱れて快感に喘ぐだけの浅ましい生物に成り下がる。 「っ、ひぁぁっ……も、おね、はなしぃ……ゃぁあぁ、」  哀願する舌もうまく回らず、ただただ否定をするように涙を溢して首を振るのみ。  ガクガクと不随意な運動をする自分の身体に、限界が近いことを朧気ながらに感じて悲鳴を上げる。 「ふ、ぅもぉ、……ぅじ、いじめない、でっ、ゃ、あって……ぃいから、ンっりゅ」 「いじめてねぇよ」  いやに冷静な声が耳を打ち、男の顔を窺う濡れそぼった睫毛が重い。  汗で張り付いた前髪を掻き上げられる。  落とされる、口付け。 「あんた、久しぶりだろ」 「んんふっぁ……アッ!」  ヒタリと当てられる、その存在に息をのむ。  そして、彼の自分の身体を気遣ってくれるやさしさに、とうに崩壊した涙腺は際限を知らない。  でも── 「りゅぅじ、も、っから、……き、て」  更に熱くなった身体を持て余し、力の入らない腕を男に伸ばす。  途切れ途切れのちいさな声だったが、密着した相手は確かに拾ってくれ抱きしめられる。  キツク。 「りゅぅじぃ……っ」  溢れる思いに言葉は紡げず、しゃくり上げつつもどかしく相手を呼ぶ。 「っあ、」  返事のように、進入してくる存在に瞠目した。  ──アツ、イ。  先ほどのように溶けてナクナルものではなく、すべてを絡め取られ奪われる──。  自分以外の灼熱の鼓動に、閉じる事を忘れた唇はハクハクと酸素を求める。  深くなっていく交わりに、悲鳴と共に甘えを含んだ声が勝手に上がる。  ネツも、深さも。  憶えていたハズ、なのに──。  記憶のそれよりも圧倒的な存在感を刻み込まれる。  無意識に逃げる腰も強く引き寄せられ穿たれる。  ──いっぱい、イッパイ。  爛れた思考も身体も何も役に立たない。  あるのは自分を充満させる男の存在。  ただ、それだけ──。 「ぁあ、……っあ──……」  心身ともに満たされた一磨を絶頂に押し上げるのは充分で、堪らず欲を吐き出した。  尾を引いた掠れ声とは裏腹に襞は猥雑に蠢き、持っていかれまいと奥歯を噛み締める男。  そんなことなど頭に無い一磨は、放埓の後の敏感になった身体を内側から摩られる感覚に震える。  弱々しくシーツを掻く指先は自分の物ではないよう。 「ぁ……っあ、あっあっ……」  弛緩した身体をなおも苛む男の存在感。  収まりきらないネツの蘇りを自覚する。  投げ出したままの手を取られて、どちらとともなく握りこむ。 「一磨……」 「っぅじぃ……」  低く囁かれた声に総毛立つ全身。  送り込まれてくる律動が時折探るようにして回され、快感を覚えこまされる。  鋭く容赦ない狂おしいソレを。  同時に唇を探られ、絡む舌の向こうに焦がれた男の顔。 「っかず、ま」 「っぁ…………」  最奥に注がれる迸りに、言いようのない幸福感に包まれる。

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