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できなかった。
腕を捕らえられ引き寄せられて、したたかに後頭部を打って、気がつけばキッチンの床に仰向けに転がされていた。
そして、隆司が伸し掛かってくる。
「──え?」
ワケが、解らない。
あまりのことに涙も止まった一磨を前に、彼の腕をひと括りにして隆司の手は服の中を弄る。
「やっ、隆司! やめてっ!」
一磨の頭が呆けていたのは一瞬で、すぐに隆司の行おうとしていることを悟った。
まさか、とは思ったが、目的を持って彷徨うそれに愕然と眼を見開く。
──なんで?
──どうして?
どんなに力を入れても、振り払えない。今までも力の差を感じていたが、まさかこれほどまでとは。
くやしさと、恐怖で再び視界が悪くなる。逆光で彼の表情を窺う事ができない。
「おねがっ、はなし……んーっ」
哀願する言葉も、彼の口腔内に消える。逃れようとがむしゃらに首を振っても、解けない。深くなっていく蹂躙に眼前の息子の顔を呆然と眺める。
なぜ、こんなことになった?
隆司の友人を見送って、隆司と早めの夕食を摂り始めて、隆司の両親の話になって、自分は隆司にはもう必要が無くなって……。
真っ白な頭ではなにも結論は出ず、余計に混乱するだけだった。
ながい、キスだった。
時間的にはそれほどではないかもしれないが、一磨には気の遠くなるようなものだった。いや、いっそのこと気が遠くなって悪い夢だったことにすれば良いのか。
「あ……は、」
彼の唇が離れ、急激に酸素が肺に流れ込む。荒い息を繰り返していると、上肢と下肢両方の肌を探る手を感じる。左右の腕はいつの間にか紐で頑丈に縛られている。どんなに力を入れて引っ張っても緩まない。
カタカタと寒くも無いのに、震えが止まらない。
「ふっ……」
なにもかも、ぐちゃぐちゃで嗚咽が漏れてくる。それを唇を噛んで耐える。
──こわい。
彼が小学生の時から一緒に居るのに。
その、大切な思い出と家族を重ねてしまいそうになる。
あの、母親の恋人たちに。
何人もで幼かった一磨を取り囲み、服を剥ぎ取り、身体を掴み引き裂いて剛直を埋め込み、時には異物を時には奉仕をさせ、汚い液体まみれにした、彼らに。
──それが、何にも勝る、恐怖。
お願いだから、壊さないで。
取り上げないで。
大切な、大切な、タカラモノ。
「っ、りゅ……ぅ……やめ、て、っね……?」
ふるえる声で彼を見上げても、無常にも行為の中断はされなかった。更に、男の弱い部分を摩り上げられて煽られる。必死に耐えてもそれ程持たなかった。
「あああぁぁっ」
身体は強制的に絶頂に引きずられ、果てる。
追いついていけないのは、ココロ。
一磨が放った体液を掬い取り、絡められた指が奥へと差し込まれてくる。足を閉じようと足掻いても、男の身体が邪魔をする。
小さな護らなければいけなかった小学生は、いつの間にか、高校生のオトコになっていた。
「んんんん」
痛みと異物感に眉間に皺が寄り、仰け反ってかぶりを振る。
クチュクチュと水音がする。
「ぃやぁっ」
ある一点を探られ、意志に反して身体が跳ね上がる。
重点的に攻められて、喘がされ続ける。
『淫乱』
『男に掘られて、そんなにいいか?』
『こいつぁ、いいオモチャだ』
『壊れるまで可愛がってやるよ。安心しろ』
『さすが、あの女の子供だぜ』
顔の無い男たちの蔑んだ下品な笑い声が頭の中で響く。
「も、もう、やだぁっ! おねがっ、たす……」
隆司の猛ったものが、ぬぐりぬぐりと身体を引き裂く。
「……けてぇ、なぉ、き、さ……ぁああっ」
突かれては引き出され、時に探るように蠢くそれに、一磨は悲鳴と嗚咽を上げて瞠目するしかなかった。
そして、一磨が助けを請い必死に手を差し伸べようとしたのは、自分を組み敷いている隆司、彼だ。
──とおくで、なにかがコワレル、おとがした……。
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