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『家寄ってく?』
『いえ、そんな!!』
『そんなビビんなくてもなんもしねぇよ。雨宿りしてけば?』
『あっ…それなら…』
そう言って俺たちは家に入った。
部屋に案内し、俺は一応客人だし…と飲み物や菓子を用意して部屋に戻る。
『お前何してんの?』
部屋に行くと落ち着かないのかソイツはウロウロと歩き回っていた。
『いや、落ち着かなくて…』
『お前おもしろいな。まぁ座れよ。』
そう言うと俺からかなり遠いところで正座をした。
『遠くね?』
『そ、そうですか?』
『まぁいいや。』
どちらも喋らなくてただ時間だけが過ぎて行く。
外の雨音だけが部屋に響いて…
『あ、あの!!』
『ん?』
『そろそろ…帰ります…ご迷惑だし。』
そう言ってソイツは立ち上がった。
『外、まだ雨降ってるけど?』
『大丈夫です。走って帰ります。』
頭を下げて部屋を出て行こうとするソイツの腕をグイッと引き、気づけば口付けていた。
『ん…』
漏れた声に俺は興奮して唇を割って舌を差し込む。
慣れていないのかなかなか俺の舌に絡みついてこない舌を追い詰め、おもいっきり絡ませた。
『んっ…ん……』
チラリと目を開けるとソイツは真っ赤な顔でギュッと目を瞑っていた。
『お前…もしかして初めて?』
ソイツは肩で息を整えながら無言で頷く。
『じゃぁこれも初めて?』
そう言いながら下半身に手を伸ばす。
無意識のうちに俺はソイツを求めていて、いつの間にか抱いていた。
その時の場面がいつもフラッシュバックして頭の中で何度もリピートされるのに顔だけにモヤがかかって思い出せない。
俺…たぶんその時のソイツの顔がすごく好きだったハズなのに…
初めてするというソイツは真っ赤な顔で俺に感じ、とても気持ちよさそうに喘いでいた。
なのになんでだろう…
あとちょっとというところでいつも出てこない。
ソイツはある日突然親の転勤で転校することになり俺たちの関係は自然消滅した。
元々去る者追わずというタイプだったので、何も気にとめず過ごしていたわけだが、気付けばずっとソイツのことが頭から離れないわけで…
あぁー、ムシャクシャする。
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