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『うん、いいね。』 店長はさっきからコレばっか。 確かにいいと思うけど… 俺ならもっとこうするかな?なんて厳しいことを考えちゃったりして…。 いや、確かに悪くないんだよ? ないんだけど… あれ?これ嫉妬ってやつかな? できすぎる新人に妬いてんのか? 俺らしくなさすぎてちょっとウケる。 『お疲れ。』 『ありがとうございました。』 深々と頭を下げ、カットした髪を片付け始める白石。 店長は俺に戸締りを任せて先に帰ってしまった。 『すみません。すぐ片付けますね!!』 『いいよ。ゆっくりで。このあとなんも予定ないし。』 『ありがとうございます。』 白石がまた深々と頭を下げて片付けを始める。 『なぁ…俺とお前どっかで会ったことない?』 『…ないと思いますけど……』 『だよな。』 俺はなぜかそんな質問をしていて、返ってきた答えに納得する。 なぜそんな質問が出てきたのかはわからない。 ただ黙々と作業をする姿をどこかで見たような気がしただけだ。 『遅くまですみませんでした。ありがとうございました。』 『お疲れ。』 そして俺たちは別れる。 なんかヤリてぇ気分だな…と、携帯の電話帳を開く。 前に何度かヤッた女を探し電話をかけた。 『おう、俺。今から家こねぇ?』 そう声をかけると、行く行く!!と飛びついてくる女。 バカみてぇ。 まぁその女を抱く俺もバカなのか… フッと笑いながら家へと向かったのだった。

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